結合エネルギー

むいむいむい投稿 2020/10/30 15:42

高2 理系 青森県

愛知東邦大学志望

酸塩基のところの問題で、HCl+NH3→Cl-+NH4+になるそうですが、わざわざそうなる理由をYahooで聞いたところ、
Cl-+NH4+になると、結合エネルギーが低くなるため安定するという回答が来ました。
なぜ結合エネルギーが低いものになると安定するのか分かりません

回答

atom投稿 2020/10/31 02:15

大阪大学工学部

一般に「結合エネルギーは高い方が安定」です。
文脈は分かり兼ねますが、おそらくその方は間違えてます。
ただ今回は、「水溶液では電離した方が安定する」という解釈が正しいかと思います。

下記2点について少し詳しく説明します。
⑴電離すると安定化する理由
⑵上記の反応が起こる理由

⑴電離すると安定化する理由
水は極性溶媒で、電荷の偏りを持ちます。
つまり、H-O-H(折れ線形)のうちOが負に、Hが正に帯電しています。さらに、H2O内のOは強い求電子性を持つため、両端のHから電子を引っ張ります。そのため、H2O中のOは通常の酸素より強い陰性を持ち、逆にHは強い陽性を持ちます。

そこでHClのうち、H+がH2OのOに、Cl-がHに引っ張られ引き剥がされます。これが電離です。式で書くと

①HCl→H+ + Cl- (強酸なのでほぼ100%電離)

このように電離した後、それぞれ水分子に取り囲まれ(水和)、安定化します。この水和によるエネルギーの低下が「電離=安定」となる理由です。知恵袋回答者の表現を良心的に捉えるなら、HClの強い「結合エネルギーが」H2Oにより「低くなり」、結合が切れて水和することで「安定化する」といった感じでしょうか。
ただ「結合エネルギーが低くなると安定化する」という直接的な因果はないです。
今回の件とはあまり関係ありませんが、「結合エネルギーは大きいほど安定」です。
質問者さんの感覚は合ってます。

⑵反応が起こる理由
一般にNH3の電離は
②NH3 + H2O ⇔ NH4+ +OH- (弱塩基なのであまり電離しない)
H2Oは電離するよりそのままの方が安定な気がしますが、H2O自身がもともと自己解離反応といって、若干
H2O ⇔ H+ +OH- のように電離しています。
この自己解離反応で生じたH+とNH3が反応し、NH4+が生成されます。
ただ、NH4+は非常に不安定な状態なので、すぐNH3に戻ろうとします。
②式で両矢印を使っているのはそのためです。
ちなみに、この右向きの反応と、左向きの反応が釣り合っている状態を「平衡」と呼びます。
NH3は水に大量に溶けるのですが、実は一部しか電離しておらず、大部分はNH3のままH2Oと水素結合で保たれています。そのため、アンモニアは水に大量に溶かしても弱塩基なのです。

アンモニアの電離反応を②式で示しましたが、今回①式のようにHClが大量にH+ を出しているので、H2Oの自己解離反応ではなく、ほぼここから供給されると考えて良いです。すなわち

③NH3 + H+ ⇔ NH4+

普通はこの反応も、ある平衡状態で保たれるはずですが、①式の反応から無限にH+が出てくるため、③式の平衡状態が崩れ、右向きの反応が促進されます。
そのため大部分がNH4+となり、

④HCl + NH3 → Cl- + NH4+
という反応が起こるわけです。

まとめると、通常 水にアンモニアを溶かしても、あまりNH4+は生成されませんが、HClの強い電離作用によってH+が過剰に供給されるため、NH3 + H+→NH4+という反応が活発になる。という感じです。

めちゃくちゃ脱線しました。
分かりにくい説明ですみませんm(_ _)m

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