受験校選びとその後

トマト投稿 2023/9/2 21:38

高1 文系 東京都

東京都立大学人文社会学部志望

高校一年生です。起業を最終的な目標とするなら、どの学校のどの学部に行き、勉強すべきですか?またその学部に行くためには、これからどのように勉強すればいいですか?

回答

たけなわ投稿 2023/9/3 02:43

北海道大学法学部

 起業したいのであれば、最低限、商学、経済学、経営学、法律学(少なくとも民法、商法、民事手続法、租税法)あたりを学んでおくのが身のためだと思います。以下、それらの簡単な内容です。もっとも、私は法学以外を専門的に学んだ経験を持たないので、この回答において、私の理解が誤っている場合は申し訳ございません。

 ① 「商学とは製品やサーピスを生み出す過程とそれらの流通・交換を営む市場経済の動きを解明する学問です。市場をけん引するのは主に企業ですから、商学では企業の活動を中心に学びます。商学部では4つの学科を通じてビジネスに関わる流通市場の営み、企業活動と管理の仕組み、ビジネスの国際展開、会計情報の作成・活用、企業の金融・財務活動の理解などを深めていきます。」(https://www.chuo-u.ac.jp/academics/faculties/commerce/point/difference/)
② 「経済とは、ヒト、モノ、カネ、情報が生産され、取引され、消費され、さらにはそれを繰り返す関係のことをいいます。私たちの生活がどのような仕組みで成り立っているのかを、経済を通じて社会全体が形づくられていく過程を踏まえながら学んでいくのが経済学です。経済活動を単純化すると家計・企業・政府が担っているといえ、経済学部では、それぞれが社会においてどのような役割を果たしているのか、また、それぞれがどのようにお金をやりとりしあって経済活動を展開しているのか、などの経済の仕組みについて学びます。」(https://www.econ.ynu.ac.jp/about/economics/)
③ 「経営学とは経営者の視点でヒト・モノ・カネ・情報と呼ばれる経営資源をいかに効果的に配分/活用して企業を豊かにするかを考える、実践的かつ実務的な事象を扱う学問となります。」(https://www.nucba.ac.jp/management/about.html)
④ 法律学は、各国の法制度について学ぶ学問です。現行の日本法制はもちろんのこと、諸外国(とりわけドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、中国など)の法制も「比較法」のために学びます。通時的な視点で法律を学ぶとなれば、「法制史」という分野につながります。もっとも、「法学」全体に焦点を当てれば、そこには、法律学のほかに政治学や基礎法学(法哲学、法社会学、法史学等)も含まれてきます。法学部に進んだ場合は、これらも学ぶことになります。

会社の設立、組織・運営、会社として他の会社や人と取引をする関係等に関しては、広く現行法制度の知識が必須になります(商法は勿論のこと、これに加え、取引関係については民法の、訴訟や倒産等することになれば民事手続法の、会社のお金の移動の一つとして租税法の知識が活きて来るでしょう。まぁ多くの場合は専門家に手を借りるのでしょうが)。会社設立の第一ステップとして作成しなければならない「定款」(会社の組織と活動に関する根本規則)には、会社の目的(=その会社が営む事業)を必ず記載しなければなりません(会社法26条,27条1号。なお、記載しなければならない事項は他にもいくつかあります。それについては会社法27条2~5号,37条)が、何を事業とするかは、世の中の問題や需要を正確に把握し決めなければならないでしょう。なぜなら、株式会社の場合は、自分一人ですべてやる場合を除いては、出資者を募らねばなりません。出資者はその会社に資金を提供する代わりに、株式を取得し、将来的な剰余金の配当に与れる権利を享受します。事業に成功の見込みがなく、したがって、将来期待に沿う額の配当を受けることが見込めない会社に対しては、出資をするインセンティブがないからです。これには商学や経済学の知見が活きてくるかもしれませんね。もっとも、未だ解決されていない社会問題や満たされていない需要などの分析は、まず現在様々な企業によって行われている事業の内容とその問題点を詳細に分析・把握し、なぜこれではいけないのか、どうしたら問題解決・需要の充足に至るだろうか、そのためには何が必要なのかといったことをも考えなければならないと思います。これについては、学問分野関係なく、自らの不断の努力で行うことになるでしょう。また、会社の運営には経営学の知見も必要になってくるでしょう。商売や取引の具体的なプロセス等については、商学の内容が関係してきそうですね。このように、起業は様々な分野の集大成と言えるでしょう。

そのため、起業が最終的な目標であるならば、特定の学部にこだわる必要はないのではないでしょうか。さしあたりは、商学、経済学、経営学あたりを選んでおけば、横道に大きくそれてしまうことはなさそうです。どの学部に進むにしろ、大学で学ぶ学問を超えた実地的な勉強が大きな要になってくると思います。まぁ、私のような起業するつもりの全くない人間に言われたところで、説得力など皆無かもしれませんが。志望校についても、特に指定すべきではないと思います。ただ、目標を高く持つほどいいのではないでしょうか。ひとまずは東大、京大の経済学部か、商学部であれば早慶らへんでしょうか。そこらへんの序列等は知りません。

それから、行く学部がどうであれ、特別に今すべきことが変わるわけではありません。とにかく、受験で必要になる勉強をするまでです。専門科目は大学で学べるのですから、今はとにかく受験科目の勉強に意を注ぎましょう。大学に入ることにすら至らなければ元も子もないわけですから。手早に志望校を決めて、その募集要項で受験形式や受験に必要な科目等を確認しましょう。

最後に余談ですが、株式会社の設立手続については、法務省のサイトで解説されているものがあるみたいなので、興味があればどうぞ(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00134.html)。また、会社法についてざっと学びたいという場合には、神田秀樹『会社法入門 第三版』(岩波新書・2023年)が最もお手頃なのではないでしょうか。ちなみに、神田先生は商法、証券法、金融法を専門とする法学者で、現在は学習院大学大学院法務研究科の教授でいらっしゃるみたいです。その傍ら、三井住友信託銀行株式会社取締役、NTTグループ監査役と企業実務にも携わっておられるようで、東大の名誉教授でもあります(神田先生のご経歴については、https://group.ntt/jp/ir/mgt/management/kanda.html)。今年9月でめでたく古稀をお迎えになるのとは裏腹に、弘文堂から刊行されている御著『会社法』は毎年改訂され、今年で25版という研究へのご精力にも感服せざるを得ません。その他の学問分野について読んでおいたほうがいい本は、申し訳ないことにあまりよく分かりません(マルクスやアダム・スミスあたりでしょうか?)。

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